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2009年記念レポート

「宗教間の調和をめざして

 「宗教間の調和をめざして」 「宗教間の調和をめざして」を主題として、平成21年度の年次大会を11月29日、三重県伊勢市の皇學館大学で開催しました。各方面より約70人の御参加を頂きました。  3回目となる今回の大会では、ロシア正教会・長司祭の長屋房夫先生と筑波大学副学長の塩尻和子先生に、他宗教間対話のあり方などについて講演して頂き、石上神宮禰宜の西田享司氏と熊野速玉大社の上野顯宮司に「実践者報告」を御願い致しました。  なお、大会に先立ち、28日午後は「聖地見学会」が実施しました。約30名の御参加があり、内宮の別宮である瀧原宮や、同摂社の多岐原神社、神仏習合の佇まいを色濃く遺している丹生山神宮寺を参拝させて頂きました。

〔講演T〕長屋房夫先生「東方正教会と他宗教間対話」

長屋房夫先生「東方正教会と他宗教間対話」

長屋先生は、始めに東方正教会について概略を述べられ、西暦1054年のキリスト教の東西教会の分裂や、「正しい賛美」を意味するギリシア語「オルソドクシア」に由来するという「正教」の名称、日本での伝道の歴史と現在の信徒数などを紹介されました。
このうち信徒数については、明治末頃の3万人から現在は1万人弱にまで減少し、カトリックやプロテスタントなどを加えたキリスト教全体でも全人口の1パーセントにも満たないが、さまざまな社会環境を経た現在、「キリスト教的な考え方」は、少なからず日本社会に影響を及ぼしていると指摘されました。
また、キリスト教内部における超教派の対話や和解を目指す「エキュメニカル運動」(世界教会一致運動)を紹介しつつ、東方正教会では同教会が重視する「聖伝」に反することなどを理由に賛否両論があり、運動全体としても大きな成果は得られていないとの現状を解説されました。
宗教間対話についてはロシア正教会の例を挙げて、多民族国家=多宗教国家のロシアでは、革命にともなう聖職者の粛清などの歴史を経験し、現在では宗教間の対話を促す会議等が頻繁に開かれており、義務教育のなかで選択性の宗教教育が実施されることも紹介頂きました。
さらに、宗教者協力に向けた課題として、多元的な文化・価値観を許容するグローバル化によって非宗教化が促進され、西欧ではカトリックやプロテスタントの教会が衰退しつつあることをふまえ、東方正教会においては戦争や紛争の無い単なる「平和」ではなく、「内面的な心の平和」=「安和」を重視していることを強調され、日本でも凶悪犯罪の増加など社会の荒廃が進むなか、主に西欧が推進してきた律法主義から倫理社会への転換が重要であり、「宗教者それぞれが倫理的なマネジメント能力を発揮すべき時期にきている」との考えを披瀝されました。


〔講演U〕塩尻和子先生「イスラームと他宗教間対話」

塩尻先生は、はじめに問題提起として、現在のグローバリゼーションの性格について、セム的三宗教(キリスト教・ユダヤ教・イスラーム)のなかでは当初からイスラームが最も多元主義的であり、そのことが急速な伝播と拡大にも繋がったことを指摘され、現代のグローバリゼーションの枠組みは、あくまで西洋中心的・アメリカ中心的な「自己認識」に過ぎず、「世界の力関係によって形成された一種の虚構でしかない」と強調されました。
さらに、イスラームやキリスト教・仏教などの世界宗教が本来持っていたグローバルな信仰や普遍的な側面と、現在のグローバリゼーションとの間には大きな断絶があり、それが「今日の宗教を取り巻くさまざまな悲劇の要因」であるとされ、とくにイスラームは近代的な価値観とは相容れない野蛮な文明と批判されるが、本来は西洋的な民主主義・人権思想に近い社会観・人間観を持ち、現代のグローバリゼーションが、異なる伝統的文化・宗教・習慣などを認め合った『世界は一つ』という枠組みであるならば、イスラームもそれを促進するはずで、その過程で宗教間対話が成立する可能性があることを述べられました。
このほか、中世アッバース朝では、イスラームの支配権を認めるという条件下ではあったが、多宗教の共存が実現していたことを紹介され、現在でも、理性主義的傾向を持つ民主主義的な議論を展開することで、イスラームと他宗教との平和的共存は可能であるとされ、その場合には支配権などは問題とされず、どの宗教を信じていても、人間としての尊厳と権利と義務が尊重される新しい共存の世界を作り出すことができる、と提言されました。
最後に、昨年伊勢の神宮に参拝した折の思い出に触れつつ、崇拝対象としての木像や銅像が無い神宮に人々が訪れる理由として、そこに鎮座する神々を拝するだけでなく、静謐な神域が魂の救済と肉体の健康を約束する「聖地」であると感じたことを紹介され、神宮には世界の諸宗教に共通する「神との応答」が可能な「宇宙の中心」があると考えれば、日本の伝統宗教と一神教、とくにイスラームとの相互理解・共存も不可能ではない、と締めくくられました。

塩尻和子先生「イスラームと他宗教間対話」塩尻和子先生「イスラームと他宗教間対話」

〔実践者報告〕西田享司禰宜、上野顯宮司

午後の部では、「実践者報告」として、西田禰宜が「神道行法について」、上野宮司が「熊野信仰について」と題してそれぞれ発表頂きました。まず西田禰宜は、神道行法の各行事の意義や目的などについて、記紀神話などを引用しつつ紹介されました。次いで上野宮司は、浄財を勧進するために全国を廻った尼僧(熊野比丘尼)が使用した「熊野勧心十界曼荼羅」による熊野信仰の絵解きをされ、熊野には人生の救いを求めて数多くの民衆が参拝するとともに、それを分け隔てなく手厚く受け入れてきた歴史があることを強調されました。  その後、今年からの新たな試みとして、一般参加者を募って実施した「若手宗教者による修行体験」についての報告があり、座禅・禊・山岳修行の体験がそれぞれ紹介されました。大会終了後には、前年と同じく内宮での特別参拝も行いました。

西田享司禰宜

上野顯宮司(尾鷲熊野信仰:修験者、白装束)

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